「集金」という行為は、絶滅の淵にある。
昔は、電気・ガス・水道と、
入れ代わり立ち代わり集金人が現れたものだが、
現在では銀行引き落としが当たり前。
各戸を訪ね歩く集金人は、新聞の集金くらいのものになった。
むろん、新聞代の場合も、銀行引き落としにすることはできる。
引き落としの手数料は、販売店側の負担で、
お客は負担しなくていい方式だ。
販売店側にすれば集金の手間が省け、
読者のほうも便利な方法と思えるのだが、
なぜかその普及率はわずか数%・どういう理由で、
新聞だけは銀行引き落としが進まないのだろう。
まずは、お客側の問題がある。
「引き落としにすると、ほかの新聞に変えるとき、面倒そうだなあ」
という心理が働くのだ。電気会社を変える人はいないが、
新聞を頻繁に変える人はそう珍しくない。
また、集金方式なら、1週間くらい家を留守にして新聞を止めたとき、
代金を引いてくれることも期待できる。
しかし、銀行引き落としだと、そういう小回りがきかないことを
不満に思う人もいるだろう。また、販売店のほうにも事情がある。
1軒1軒の集金はたしかに大きな手間なのだが、
積極的に引き落としにしたくない事情があるのだ。
引き落としにすると、儲けが減ってしまうからである。
引き落としにすると、販売店負担の手数料は約200円。
1方、集金人の手数料は160~170円。
わずか3、40円の差とはいえ、何千軒、何万軒となれば、
これは大きい。販売代理店にとって、銀行引き落としは
経営的なメリットがないのだ。
というわけで、
新聞代の銀行引き落としはいっこうに進まない。
実情からいえば、引き落としにしたところで、
喜ぶのは手数料の入ってくる銀行だけなのだ。